works

女声合唱組曲

歳月

詩 茨木 のり子

曲 森田 花央里

1. 泉
2. 椅子
3. 急がなくては
4. 歳月
5. 夢

「Yの箱」

私はこの詩集をとある人に頂いた。その人に教えてもらい2014年に世田谷文学館「茨木のり子展」へ行き、「Yの箱」や「スウェーデンの椅子」を眺めた。

その人に「いつかこの詩集に曲を書きます。」と約束をした。けれど、それはずっと先になると思っていた。29歳の独身の私に「歳月」はなかったから。

公表されるまで、詩人茨木のり子が心の中で温めた31年の歳月が、彼女の詩を証明していた。そして、彼女は最も尊く静かな方法、死を迎え今も真実と共にある。

2015年に岸信介先生率いる合唱団「ジュディ」の声を聞いた時、私は、私のまだ知らない女の性に触れた。一瞬で分かった。たぶん、この人たちは子どもたちを育て、おそらく愛し、赦し、その歳月によって母になったのだ。それは「女の歌」に実を持たせていた。彼女たちの口から語られるのならば、「歳月」を証明できるのかもしれない。そう思うことができた。

私に詩集をくれた人はこう言った。
「誰にも看取られずに亡くなったが、先に死んだ夫をずっと思い続けていたから、孤高の詩人だが孤独ではなかったと、僕は考えている。」

私は、私の書いて残した曲を証明するために、生きなければならない。
それが真実であることを「歳月」は私に問う。

2016年8月 森田 花央里

1. 泉

2. 椅子

3. 急がなくては

4. 歳月

5. 夢